アイズ・オブ・ザ・マインド

EYES OF THE MIND

僕がカシオペアを聴くようになったのは、高校生のときに隣の席に座っていた(ような気がする)友達が、レイコウドウだか友&愛だかの貸しレコード屋で借りているのを見て興味を持ったからで、ちょうど「クロス・ポイント」が出たころだった。当時の僕は「早く難しそうな演奏をしている歌の無い音楽」にすごく惹かれていて、カシオペアはそんな気分にジャストフィットな音楽だった。

既発表曲を再録音したものを中心に構成されたこの「アイズ・オブ・ザ・マインド」は、僕が割りと早い時期に聞いたカシオペアのアルバムで、その後にオリジナル盤を聴いて「なんか違うなー、やっぱアイズ・オブ・ザ・マインドはいいなー」とか思っていた。

後にカシオペアのキーボード弾きである向谷実のエッセイ「フュージョン狂時代」(愛読書)を読んで「アイズ・オブ・ザ・マインドのアレンジはあまり好きじゃない、カシオペアはどんどん変えられてしまった」みたいなことが書いてあって「へー、そーなんだ」と思ったりした。今回、20年ぶりくらいにこのCDのライナーに書かれた野呂一生のコメントを見て「なるほど、何か納得いってなそうだな」とか深読みしたりした。

正直なところ、カシオペアの中の人たちがどう思っていようと、このアルバムはそれなりに好きだ。最初の2枚より全然好き(今、改めて聞きなおしたりすると感想が変わるかもしれないけど)。このアルバムによって彼らがイヤな思いをしたなら同情するけれど、僕は昔も今もこのアルバムを楽しんでいる。

カシオペア作じゃない3曲は、いい曲だけどやっぱりちょっと違うのかな、と感じる。アサヤケとテイク・ミーはオリジナルの尺がいいような気がする。ブラック・ジョークとマジック・レイはこっちの方が好き。総じて思うのは、音質としてはこのアルバムは好き(というかサンダー・ライブ以前の音質はシンプルすぎる(というか古臭い)のでそんなに燃えない)。このアルバムの音質で、初期のアルバムの曲を、カシオペアっぽい(構成やリズムを極端にシンプルにしない?)アレンジで録音しておいて欲しかったな、ということになるのかもしれない。「ミント・ジャムス」はこれはこれで好きなんだけど、もう少しスタジオっぽい作りこみをした音楽として録音したものも聞いてみたい。

1980年代初頭において、僕にとってものすごく大きな存在だったカシオペア。繰り返し聞きなおしてみて、口の中が甘酸っぱくなる思い。