カジノ・ロワイヤル (2006年版)

鷹の爪団の劇場内マナームービーが見たくて本八幡東宝シネマズへ。真ん中の席にしてくださいと発券担当者にお願いしたのに、真ん中より数個横の席をあてがわれてしまったことに困惑する。「ど真ん中」とでも言えばよいのだろうか。事前に座席表を確認して、番号指定で発券してもらわなかったことを後悔。

以下、ネタバレ。


ボンド映画を期待して見なくなったのはいつごろだろう。ユア・アイズ・オンリーが最後だろうか。今回も例に漏れず、たいした期待をせずにのんびりと見た。ところが、マダガスカルのアクションシーンで一気に引き込まれてしまった。その後、ちょっと長すぎるなと思うところもあったけれど、最後までかなり楽しく見ることができた。

ダニエル・クレイグのボンドは皮肉とか冷静さとかよりも、一生懸命走るところばかりが印象に残った。こういうボンドもありなんだろう。エージェントとしてのスキルがすげーとか、飲食だったり色恋だったりに関する知識がすげーという感動はあまりなく、体力あるなータフだなー、という印象の方が大きい。体力と根性で勝負するのはそれはそれで気持ちをゆすられるけれど、難局をちょっとした機転で乗り切って一言皮肉を言うボンドも見たいとは思う。

アクションは、1. マダガスカルの工事現場と大使館、2. フロリダの空港、3. ベネチア の3つだったということになるのかな。

1.は追っ手と追われ手双方の動きの機敏さがとにかく面白かった。カンフーだったり、非現実的なアクロバットだったりを使わずに「物理的にできるとは思うけど、かなりすごいことやってる」という感じで引き込まれた。このシーンの時点でこの映画を好きになった。

2. はがんばったけれど平凡と言えるかもしれない。爆弾を使ったオチは「機転の利くボンド」ということになるのだろうから、それを平凡と感じる僕は「機転の利くボンド」をそれほど面白く思わないということなのか。

3. は他の映画を含めて、久しぶりに設定でびっくりできて嬉しかった設定。ベネチアの建物にフロートがあるということは、特に説明なく使える設定であることにまず驚き、フロートが壊れて沈んでいく建物をアクションの舞台として活用しちゃうところがまた素敵。ここ何本かのボンド映画を見るたびに、「現代を舞台にして、普通の物理法則に縛られて、面白いアクションを作ることはできないのかも」と思うことが多かったけれど、まだまだいけますなー、と自分の誤りを嬉しく修正できた。

ジュディ・デンチのMはあまりグっとこない。Mが女性であることは別によいのだけれど、ただの状況説明係とお説教係になってないかなと思う。ボンドにうまく利用される(アカウントを盗まれて情報を取られるとか)、ボンドを叱責する(その叱責によって話が面白くならないと思う)、状況を説明する、くらいの役割しか持ってないように思えて、あんまり存在意義を感じない。

原作を読んだのは10年以上前なので、話の多くを忘れてしまったのだけれど、マティスを裏切り者(かも)という方向にもっていく展開は嬉しいおどろきだった。レイターがちょっと安っぽい役者さんだったように感じたのだけれど、今後も彼が演じるのかな。ル・シッフルによる穴の開いたイスを使った拷問も原作どおりで、おー、これをやるのね、という感じの驚き。

黒幕のホワイトさんが、今後の新たなブロフェルドとして(または新たなスペクターの一員として)次に繋がっていくのかと思ったのだけれど、どうなるのか。次回作が楽しみになった。あまり楽しみにしすぎない方が、次回作を楽しめるのだろうとは思うけど。