今村昌平

僕が見た彼の映画の数は、彼が作った映画全体から言えばほんの一部分だ。そして、同じ人が作ったからといって、それらすべてに同じ何かが含まれていると考えるのは、正しいのかどうか分からない。

けれど、僕は今村昌平の作った映画を見るたびに、意識の奥にある何かをゆすられるようなワクワクを感じた。それは、興奮かもしれないし、見られたくない何かを暴かれそうになる不安かスリルだったのかもしれない。そんなワクワクを感じさせてくれる映画はそんなに多くはないのだけれど、今村昌平の映画ではしばしばそんな思いを強く感じた。

そんな思いをもっともっとしたかったよ。

そんな思い、とくくれる世界を見せてくれたことに、僕ができる最も大きなありがとうを送りたいよ。

生きてるうちに送れよって?

本当にごめんなさい。それほど後悔はしていないけれど、でも、もうちょっとだけ立ち位置をあなたよりにして生きてきてもよかったとも思っています。