悪夢探偵

シネセゾン渋谷で鑑賞。たまに都心の映画館に見に行くと、予告編の多さにびっくりする。

以下、ネタバレ。


うーむ、あんまりピンとこなかった。大きい音で驚かされないよう身構えるばかりで疲れた。hitomiさんのルックスもしゃべり方も何とも微妙。それなりにお綺麗な方なんでしょうが、供する側がお綺麗な方として扱っているのを見ると、ちょっとありがたがりすぎなのではないの、と冷めてしまうのではないかと。

眠ると殺されるというプロットは「エルム街の悪夢」を思い出すけれど、「エルム街」はとても面白かったように思うけれど、「悪夢探偵」はいまひとつグっとこない。「エルム街」の1本目ってフレディ・クルーガーのキャラクターにそれほど依存せずに面白い話を作れていたような記憶があるのだけれど、「悪夢探偵」の(役者としての)塚本晋也を見るとフレディって当初からすごかったのかなぁ、と思い直してみたり(とはいえ、「エルム街」をもう一度見ようとも思わないんだけど)。

役者としての塚本晋也は強烈すぎるので、使い方に注意が必要なんじゃないかと思う。「六月の蛇」でもそう思ったのだけれど、塚本の顔や声を既に刷り込まれている鑑賞者にとっては、塚本が出てきて演じるだけで、いろいろなイメージが頭の中にわいてしまって、ストーリーを追うことをジャマしてしまうのではないかと(エラそうに一般論として書いてしまった。とりあえず、僕はそう思っている、というだけなのだけど)。

何がピンとこなかったのだろう。そもそも僕が話をきちんと追えてないのか。整理してみよう。

描かれる世界

  • 「0」は電話で話した者の夢に入る
  • 「0」に夢で殺される人は、寝ながら自分を傷つけて死なせてしまう
  • 松田龍平は人の夢に入って「0」を止めることができる
  • 松田龍平は人の心の声を聞くことができる
  • 松田龍平は子供のころ母親に嫌われ、殺されかけた
  • 「0」は妹と焼却炉に入れられ、そのときに妹が死んだ (おにいちゃん助けて)

話の進め方

  • 自殺者数名、携帯の最後の話し相手はどちらも「0」
  • 「0」と話した刑事が自殺
  • 主人公も「0」と話し、松田龍平に主人公の夢に入るよう依頼
  • 主人公、眠気との戦い(でも眠らなきゃ、犯人を捕まえられない気もする)
  • 主人公の夢の中で「0」と松田龍平が対決
  • 「0」死亡、めでたし

ふーむ。松田龍平と「0」の子供のころの思い出(トラウマ)はあんまり関係ないんだよな。松田龍平が人の心の声を聞けることについても同じ。説明不足だったり、収束しない伏線や設定があることは必ずしもその映画を好きになれない理由にはならないのだけれど、やっぱりこの映画はピンとこない。

訳の分からない存在に出会って災難にあう、という筋立ては塚本のこれまでの映画と共通なのかもしれないけれど、災難の部分がエンターテイメントとしてみることができず、共感できるわけでもなかったことが「悪夢探偵」を好きになれないポイントなのかもしれない。登場人物の設定があんまり面白くないことも僕にとってはマイナスなのかも。

塚本の映画の映画において、登場人物が災難に対して合理的な対応をおこなうことはあまりなく、音だったり映像だったりのパワーで一気に押し切っちゃうことが多いのではないかと思うし、そういうところが好きだったりするのだけれど、災難に対する合理的な対応が欠如していることを見えなくするくらいのパワーがないと見る側の気持ちの落ち着きどころがなくなってしまうのかもしれない。