映画が盗まれている

劇場で映画を見ると「海賊版撲滅キャンペーン」なる予告編がついてくるようになった。映画や感動が盗まれているんだそうだ。気持ちはわからないではないんだけれど、問題の本質から外れているような気がして、今ひとつ好きになれない。ウェブを検索してみたら、このCMを話題にしているページは既にあるようで「お金を払って映画館に来てる人たちがそんなこと言われても」というニュアンスだったように思ったけど、僕はそれを感じなかった。

その映画なり何なり(著作物か?)に投資した人、尽力した人たちにお金が渡るようにお金を払おうよ、というメッセージってもっと出てきて欲しいと思う。その作家が好きだから、その企画を実現したプロデューサーに今後もがんばって欲しいから、俳優がもっともっと他の映画に出て欲しいから、そういう気持ちでお金を払って娯楽を楽しむ。そういうメッセージって受けて側から見て不快なものなんだろうか。エンターテイメント業界の人たちは無給で楽しいことをしてくれてる訳じゃない。

海賊版ってどういうものなのか。違法コピーってどういうことなのか。そういう説明をもっと丁寧にして、これはだめ、これはいい、ということをきちんと伝えて、楽しむ側は適切な対価を払う、楽しませる側はそれを適切に分配する、それではダメなんだろうか。エンターテイメントはやっぱり夢の世界であるべきで、経済活動とは別の次元で語られなければならないんだろうか。