自分がトロいのかもしれないと思った

新宿に出かけた。ものすごい人だった。煩わしいとは思うけれど、自分もものすごい量の人のうちの1人なので、人が多いことについてどうこう考えても仕方ない。

気になったのは、自分の前をスルっと抜けていく人が多いことだった。

当初の何人かについては、「この混雑とあわただしさの中で譲り合いを期待するのはあまり良い考えではないか」と思った。

しかし、しばらくしてふと、「僕はもしかして、トロいのではないか」と思い至った。

僕は運動はあまり得意ではないし、敏捷に動く体ではないと思っているが、街中を歩いているときには、割とサクサク動ける人間だと思っていた。ウロウロしてる人、のんびりしている人、効率の悪い方向に動いている人をスルスルと抜けて目的地に急ぐように動けているつもりだった。そして、自分がそれをできていないと思うことはあまりなかったし、周囲の人を「トロい」と思ってみていた。

しかし、今回は違った。トロいのは明らかに自分だった。別に体調が悪いわけでも、歩きにくい靴を履いているわけでもなく、ごくごく普通の動きをしているはずの自分を多くの人たちがすり抜けていくのを感じた。というか、見た。